蹄斎北馬「野辺遊楽図」

 萩や薄など色とりどりの秋草の茂る野で、秋の一日を楽しむ女性たちの光景が描かれている。隅田川辺りであろうか。遙か遠くに向こう岸を望み、道を行き交う人々や霞の中に見え隠れする家々の屋根が見え、奥行きのある画面をつくり出している。筆者の蹄斎北馬(1771~1844)は葛飾北斎の門人の浮世絵師。北馬は摺物以外の木版画には手を染めることがなく、肉筆画に専念し、本図に見るような美人風俗画を得意とした。その面長の顔立ちをした独自の美人画風は、当時大いに人気を得たようで、伝存する作品は多い。