04.02.19更新

現在、教養教育科目の「哲学」「現代思想」「西洋思想史」を担当。「哲学」では、前半は、「見ること」とは何であるのかを深く理解するために、18世紀の哲学者G.バークリの『視覚新論』を学ぶ。上下左右が逆転して見える「逆転メガネ」を教室で実際に掛けるという体験もする。後半は、西洋哲学史の興味深い論点、たとえば、ゼノンのパラドックス、神の存在証明、デカルトの「コギト・エルゴ・スム」、カントのアンチノミー、ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」、アインシュタインの「相対性理論」などを学ぶ。
「現代思想」では、フランスの哲学者ドゥルーズの『映画論』を英語で読みながら、二十世紀の新しい表現形態である映画について考える。同時に、映画論的に重要な作品、たとえば、ロッセリーニ、ブレッソン、ベルイマン、レネ、ゴダールなどを教室で鑑賞する。
「西洋思想史」は、西洋哲学の原典を読むための、ドイツ語原典講読入門。文法の復習から始めて、最後にハイデガーの『芸術作品の始まり』を読む。
専攻は、西洋近代哲学、中でも認識論が研究の中心テーマ。哲学者でいえばカントを機軸に、デカルト、スピノザ、バークリ、ヒュームなど。西洋の哲学者たちの優れた思考を、どのようにすれば日本人である我々に役立たせることができるのかを考え続けている。
この数年は「時間」というテーマに取り組んでおり、近く本にまとめる予定。その他、現在の仕事は、哲学定義集の中の、「自由と決定論」「コンピュータ(ロボット)」「超越論的自我」という項目の執筆と、新版カント全集の中の前批判期著作の翻訳に取り組んでいる。
著者は現在アメリカでもっとも活躍している哲学者の一人。わずか140頁の小冊子だが、哲学とは要するに何なのかを正確に述べている。各章は「他人の心」「心身問題」「ことばの意味」「自由意志」「正しいこと不正なこと」「死」「人生の意味」などのように、伝統的な哲学の問題を論じているが、他の書物からの引用は一切なく、すべてナーゲル自身の言葉で高校生にも分かるように語られる。その内容はしかし現代哲学の高度な水準を示している。
昨年度末の「朝日新聞」書評で、「96年におけるこの三冊」に挙げられて話題になった。著者(1950年生まれ)は東北芸術工科大学教授で、きわめて独創的な哲学者として知られる。これまで偏った角度から論じられることの多かったニーチェを、著者は西洋哲学の中心的な文脈の中に置き直す。ヴィトゲンシュタインに代表される現代の言語哲学とニーチェとの深いつながりが明らかにされる中で、「他者を理解すること」「ルサンチマン」「真理はアレゴリーとして示される」といった興味深い主題が展開される。モンテーニュ論もあり、いわば一杯になった器から水が自然に溢れ出すような書物である。
私自身の特に好きな言葉、強い影響を受けた言葉などを順次 紹介します。短いけれど、その哲学者の思想を一言で表しています。一緒に味わってみて下さい。
「自由な人間は何についてよりも死について考えることがもっとも少ない。そして彼の知恵は死についての省察ではなく、生についての省察である。」(スピノザ『エチカ』)「僕はふたたび僕自身です。他の人ならば街路にころがっていても拾い上げそうもないこの<自己>を、僕はふたたび手に入れました。こうしてみると、<反復>というものは現実に存在するのではないでしょうか。僕は一切のものを二倍にして受け取ったのではないでしょうか。」(キルケゴール『反復』)