株式会社群馬銀行 ライフサポート部推進企画室  推進役 新井久子 × 県立女子大学 学長 小林良江

株式会社群馬銀行 ライフサポート部推進企画室 推進役 新井久子  × 県立女子大学 学長 小林良江

スペシャルトーク第5回目のゲストは、株式会社群馬銀行 ライフサポート部推進企画室 推進役の新井久子さん(文学部英米文化学科2002年度卒)です。

2022年4月11日、新井さんを学長室にお迎えし、学生時代の思い出や仕事への取り組み方、企業の女性活躍推進について、「県女」に届けたいメッセージを語っていただきました。

(令和4年4月11日(月)対談)

学長:学生時代で記憶に残っていることはありますか?

新井:学生時代は太田市の自宅から通っていたので、通学に時間がかかりました。県内出身の学生は、1時間位かけて通学する人が多かったので、お互いの授業が空いた時間に食堂で情報交換やお喋りをしていたことが今でも記憶に残っています。

学長:アルバイトなどはなさっていましたか?

新井:1年の冬から、自宅近くにあるレストランで、キッチンスタッフのアルバイトをしていました。アルバイト先には、私より年下の高校生、同年代の大学生、社会人・主婦の方など、色々な年齢層や立場の違う方がいました。学生のうちに、年齢・性別を問わずコミュニケーションを取る練習ができたことが、良い経験になったと思います。

学長:多様な方々と共に働く経験は大切ですね。学内のゼミなどで印象に残っていることはありますか?

新井:若林先生のゼミで、「第二言語習得」について学びました。母国語と第二言語では習得が大きく異なる点が興味深かったですね。

勉強以外では、親交の深いゼミだったので、夏はゼミの卒業生も呼んでバーベキューをしたり、秋には山形出身の友人がいたので芋煮をしたこともありました。冬は、草津のセミナーハウスを借りて、ゼミの勉強合宿をしたのも良い思い出です。

「生まれ育った地域に恩返しや貢献できる仕事がしたい」

学長:充実した学生生活を送られたのですね。就職先に金融業界を選ばれた理由は何かありますか?

新井:実は、金融業界を目指していた訳ではなかったのです。前橋グリーンドームで県内企業の就職説明会があり、群馬銀行のブースに立ち寄ったことがきっかけでした。

私は、生まれてからずっと群馬で過ごしてきたので、地元に残って地域へ恩返しや貢献ができる仕事をしたいと思い、県内企業の群馬銀行を選びました。

学長:群馬への愛が就職先選びにも繋がったのですね。

新井:自分ではそれほど意識していませんが、何かにつけて「群馬がいいかな」と落ち着きます。

学長:銀行に入行して、驚いたことや戸惑いはありましたか?

新井:人事異動が頻繁にあることです。自分が異動になった時はもちろん、自分が異動でなくても周囲の人が変わるので、職場の環境変化が頻繁に起こります。同じ会社で働いていても、常に変化や新しい出会いがあり、多くの刺激を受けることができます。

学長:入行された時、「総合職」や「事務職」と職種は分かれていましたか?

新井:はい。私が入行した頃は「事務職」か「特定総合職(地域を限定した総合職)」か「総合職」の3択で、私は「事務職」として入行しました。それから制度が変わり職種別の採用が廃止され、現在は全員「総合職」です。

学長:では、最初は、事務の仕事が中心だったのですか?

新井:そうですね。銀行に来店されたお客様の応対をする窓口業務や後方でお預かりしたものを手続きする業務があるのですが、私はこれらの業務歴が比較的、長かったです。

学長:では、「総合職」として入行すると、事務の仕事をする経験は、ほとんどないのでしょうか?

新井:銀行業務の基本を理解するために、最初は事務の仕事をします。人によって期間の長短はありますが、事務を通して基礎を身に付けてから、融資や資産運用などの係に分かれていくことになります。

「与えられた仕事を頑張っていれば、必ず見てくれる人がいる」

学長:今いらっしゃる、"ライフサポート部推進企画室"、これはどういう部署ですか?

新井:銀行は、個人のライフイベントにあわせ、住宅ローンや教育ローンのご提案、また資産運用や相続のご相談などのコンサルティング業務を行っております。当部は、そのような各種商品やサービスに関する企画等を行う部署です。

学長:新井さんは現在、推進役でいらっしゃいますが、最初に管理職になられたのは、おいくつの時でしたか?

新井:33歳だったと思います。支店長代理になるには面接等があり、当時の支店長から声をかけていただきました。

非常に驚きましたが、目の前の仕事を頑張っていれば必ず見ていてくれる人がいるのだと思いました。私の場合、その方々に評価していただいた結果として、管理職になる道が開けたのではないかと思っています。

学長:管理職は自分本位で昇りつめていくものではなく、日々の努力の積み重ねが、周りからの評価に繋がるということですね。私も同感です。管理職として、仕事をする上で気をつけていることはありますか?

新井:仕事が次から次へと増えていくので、基本中の基本ですが、メモを取るようにしています。例えば、報告や時限があることは順番に書き、期日を管理するよう心がけています。

また、去年の9月まで館林支店の次長として勤務していた頃は部下がいたので、部下とのコミュニケーションも非常に大切にしていました。仕事の話だけではなく、毎日ちょっとした雑談を交えながら話しやすい雰囲気を作ることで、何か悩みや問題が生じた場合もすぐに相談してくれるようになりました。

やはり、風通しの良い環境を作っておくことでチームワークが高まり、仕事自体が上手くいくようになると実感しました。

学長:職場のコミュニケーションは大切ですね。お互いの誤解や憶測で雰囲気が悪くなることもありうることですので、上位者ほどコミュニケーションを自ら取っていくことが必要になっていきますね。

新井:当行は、部下と上司が1対1で45分程度話をする「1 on 1ミーティング」を月に1回実施しています。基本は上司が聞き役で、部下に仕事の悩みや自己啓発等について話してもらいます。そこで色々な話を聞くことにより、「そんな風に考えているのだ」という気づきがあるので、傾聴することの重要性を改めて感じました。

学長:工夫していらっしゃるのですね。新入行員に対して、身近な先輩が話を聞いてくださるような取組はありますか?

新井:年齢の近い先輩行員が、新入行員の相談役としてメンターに任命されています。メンターとも毎月面談を行い、若手ならではの悩みを相談できる機会を設けています。

学長:新入行員さんには心強い先輩行員さんが身近にいらっしゃるのですね。新井さんは、今後、こうなりたいなど目標をお持ちですか?

新井:半年前に現在のライフサポート部に異動し、環境が大きく変化しました。まだ今後の具体的なビジョンは見つけていませんが、まずは自分に与えられた仕事を一生懸命こなしていくことが一番だと思っています。私が管理職になれたのも、与えられた業務を全うしていった結果だと思っておりますので、今後も目の前の仕事に一生懸命、取り組んでいくつもりです。

群馬銀行は女性が働きやすい企業

焦らず自分のペースでキャリアを考えて

学長:群馬銀行のホームページを拝見させていただくと、女性の活躍に非常に力を入れていらっしゃるようですね。「プラチナくるみん」や「えるぼし(3段階目)」認定もされていらっしゃいますが、女性が働きやすい会社だと思いますか?

新井:群馬銀行は、福利厚生の観点において制度が整えられており、働きやすい企業だと思います。

産休・育休もそうですが、復帰をする時の支援体制も整えられています。男性も配偶者出産休暇や育休取得が促進されていますし、親の介護が必要になった場合の介護休暇制度もあります。

また、女性活躍推進法に基づいて、女性行員向けの研修を開催する取り組みも行っています。先日も、今後ステップアップしていく女性行員に対して、私や現役の女性支店長など3名が、悩みや質問に答えるオンライン研修がありまました。既に管理職になっている私達が、自分たちの経験に基づいた話をすることで、管理職になることへの不安を取り除けたらよいと思っています。

身近にロールモデルがいることで、自ら積極的に管理職を目指す女性行員が今後も増えていくこと期待しています。

学長:働きながら、子育てをしていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

新井:非常に多いです。

学長:学生から「産休・育休を取り、時短勤務をすると、その後の評価や昇進において不利になるのでは?」という質問を受けますが、現実はいかがでしょうか?

新井:確かに産休・育休を取っている間は、勤務から外れるため、同期と業務経験の年数に差はでます。それでも、焦らず自分のペースでキャリアを考えていただければと思います。

学長:焦らず、ですね。子育てをしながら管理職になっていらっしゃる方もいますか?

新井:はい。子育てをしながら仕事をしている方の話を聞くと、配偶者をはじめとしたご家族のサポートがあるから、働きながら子育てができると言っています。ただ、産休・育休から復帰し、時短勤務が明けたタイミングで管理職になる方もいますので、子育てをしながら働くこと自体が、不利ということではないと考えます。

学長:そうですね。産休・育休を不利と捉えるのではなく、その期間を生かして今後の働き方にどのように厚みを持たせるか、という気持ちでいた方がいいと私は思っているのですが・・。

新井:おっしゃる通りだと思います。

コロナ禍を経て

新しい時代を生き抜いていく県女生へ

学長:学生時代にやっておけば良かったことはありますか?

新井:もっと旅行をしておけば良かったと思います。学生時代は、勉強、ゼミ、アルバイト、卒論、就活で時間に追われ、忙しいと感じていましたが、今思えば学生時代の方が十分な時間がありましたね。

学生時代も、ゼミの仲間や友人と旅行に行きましたが、社会人になると時間に融通がきかなくなるので、学生時代に色々な所に行き、もっと色々なものを見ておけば良かったと思います。

学長:社会人になると新たな挑戦は難しくなりますよね。今年の1、2年生は、コロナ禍で高校の修学旅行は中止、大学生になっても旅行にも行けないという状況ですが、不自由な中でも、学生時代にしかできないことを探して挑戦してほしいと思っています。

これからの時代を生き抜いていく学生に、励ましのメッセージはありますか?

新井:励ましになるか分かりませんが、現在はインターネットなどでも色々なことが学べますので、自分の興味があるものを見つけ、社会人になった後も役立つものを学生のうちから身につけていただくと良いと思います。コロナ禍で行動が制限されることもありますが、そんな中でもできることから前向きに頑張って欲しいですね。

また、今年の4月から成年年齢が18歳に引き下がりましたね。例えば銀行でローンを組む契約も18歳から自分の判断で出来るようになります。

学長:18歳からひとりの大人として様々な責任を負うことになりますね。

新井:そうですね。同じく4月から高校の家庭科で、家計管理や基本的な金融商品について学ぶ「金融教育」が始まりましたが、今の大学生は、授業では金融知識を身につけないまま成人となりますよね。インターネットを活用するなどしても、金融について学ぶことができるので、金融リテラシーを高めてほしいです。もちろん対面で話を聞きたい場合は、群馬銀行でご相談いただけます。

私の場合、群馬銀行に入行し、お客様にご提案するために得た金融知識を自分のためにも使うことが出来るので、本当に良かったと思っています。

学長:卒業されて20数年経った今、「県女」はこうあったら良いと思うことはありますか?

新井:自分の母校であり、全国でも数少ない公立の女子大学ですので、末長く存続してほしいと思います。

また、今後も女性の活躍推進は積極的に継続されると思いますので、学生の皆さんには社会に出た時のためにも、様々なことにチャレンジする積極性や女性ならではの柔軟な考え方を大学生活の中で身につけてほしいですね。

それと、縁あって群馬県の大学に4年間通われるのですから、県内出身の方はもちろん、県外出身の方も群馬に愛着を持ってもらえたら嬉しいと思います。

プロフィール

(株)群馬銀行ライフサポート部推進企画室 

推進役 新井久子

県立女子大学文学部英米文化学科を2002年に卒業後、(株)群馬銀行に入行。館林支店次長の役職を経て、現在は2020年に新設されたライフサポート部推進企画室の推進役として、お客様のライフイベントに対応したサービスの拡充に努めている。

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