文学部

美学美術史学科【 Department of Aesthetics and Art History 】

三宅ゼミ

研究

天下人や室町将軍、江戸の徳川将軍の御用絵師として有名な狩野派の、桃山時代の絵師である狩野光信(1561/65~1608)について勉強してきました。光信の確実な作品は少なく、そのうえわずかにある確かな作品はそれを基準とした展開がはかりにくいところがありました。狩野光信という絵師の歴史的意義はどのように認められるか、画家伝の構成や記述を読み直したり、光信が登場する書状を読み込んだりして、史料のわずかな記述を広げられないか、掘り下げられないか、現存作品につなげられないかと考えてきました。いまも考えています。

とはいえ、狩野光信のことばかりではありません。室町時代や江戸時代の狩野派の絵師たち、それから狩野派の絵師たちが描く源氏物語絵へと、時代を超えて興味が広がっています。特に江戸時代後期の狩野養信(おさのぶ、1796~1846)の源氏絵屏風は上質の絵具で細緻に描かれ、実に見事なのです。また、大名家伝来品を所蔵する博物館(美術館)に勤務していたこともあり、茶の湯道具や蒔絵の調度を含む大名家の美術工芸、近世の禅僧の書画や近代絵画にも関心があります。

授業

授業では、「日本美術史概説2」「日本美術史特講3・4」「芸術学基礎講読c」「日本美術史演習3・4」「日本美術に親しむ1」「博物館実習1・2」を担当しています。

「日本美術史概説2」は、中世の唐物の受容から始めて絵画を中心に日本の中世・近世美術史を概観する1年次の必修授業です。「日本美術に親しむ1」は、絵巻・画帖・掛幅・屏風・障壁画と形状別、および陶磁・漆芸・木工・竹工・金工と素材・技法別、ないし用途別に日本美術を紹介して、文字通り日本美術に親しんでもらおうというものです。「日本美術史特講」は2年次以降の、「日本美術史演習」は3年次以降の専門科目で、少しずつ専門的になっていきます。

概説や特講といった講義授業では、前回の授業内容に即した用語説明を求める小テストや自身の考えを記述する小レポートを、各回、課しています。日本美術史の知識が身につくこととともに、文章で事項を説明する力や、自分の考えをまとめて文章で伝える力が伸びることを期待しています。

ゼミ

群馬県立女子大学の美学美術史学科では3年生からのゼミ活動ですが、私のゼミには2019年度現在で7名所属しており、週の決まった曜日に集まって、各自の関心に基づいた発表を各回分担して行ってもらい、そのあと全員で議論する形をとっています。

ここでの発表は卒業論文の執筆・提出を目指して行うものですが、参加者全員に議論への参加を求めています。これによって発表者は発表への反応をすぐに受けとることができるとともに、自分の考えをより明確にするための道筋を得ることができるでしょう。また自分では気づいていなかった事柄を気づくことができたり、思わぬ有益な情報をもらったりするでしょう。

発表者以外の参加者は、思い浮かんだ漠然とした思いを適切なコメントや明確な質問に整えたり、さらにそれを発表者が答えやすいものに変換したり、発表者の回答を得たことで明瞭になった事態に対し、重ねてより絞り込んだ質問をしたりすることで、論理や議論の展開を勉強できます。はじめは素朴な疑問でも、質疑応答を重ねることで発表内容を深め、展開させることがあり、発表者の勉強に大きく貢献することができるのです。ゼミの仲間で相互に刺激を受け合ってほしいと思っています。

見学会や懇親会も行うようにしており、発表時だけでなく、日ごろの会話の中で学問的雑談を気軽に行える仲になってほしいと思っています。

尚、2018年度の見学会は東洋文庫ミュージアム、出光美術館、サントリー美術館、2019年度は既に見学会を2回行っており、静嘉堂文庫美術館、五島美術館、東京藝術大学美術館、宮内庁三の丸尚蔵館、出光美術館の展覧会を見学しています。

【これまでのゼミ生の卒業論文】

平成29年度(2017): 小林清親研究

平成30年度(2018): 狩野芳崖作《悲母観音》研究

曾我蕭白研究

女流画家研究

上