第8回群馬学センター萩原文庫シンポジウム
『紋章の地域学-家紋・寺社紋研究の現状と課題-』
萩原進は、1979年に『上州の苗字と家紋』上・下巻を発表している。巻頭で萩原は、本書がなった理由を、空前の歴史研究ブームの到来と評している。人々がかくも歴史に関心をもったことはこれまでになかったという。そのことを萩原は、戦後の経済成長が人々の心に余裕を生み出し、ついにルーツ探求という文化的欲求を触発することになったのだと分析している。本書には、群馬の苗字と家紋がセットで、優に1000件を超えて採録されている。それを成し遂げたのは、萩原の知見と熱意はもちろんだが、県内で活動する40名近くの在野研究者の力であった。萩原が苗字・家紋調査を通じて世に問うたことは、地域に根ざした歴史研究の意義と方法、そして将来への展望であったと言えよう。
では、家紋を含む日本の地域社会における紋章調査は、その後方法論的にどこまで進歩し、収集と資料化の実際はどのような状況にあるのか。そして、現在の地域史・地域文化研究において、その成果はいかに問われているのだろうか。本シンポジウムは、家紋研究の第一人者の知見と、自治体史編纂の最前線の体験に学びながら、紋章研究の今日的な課題と地域学にとっての意義を探求することで、萩原が苗字・家紋調査に託した期待に答えようするものである。
〇会場
群馬県立女子大学 2号館 第1講義室
〇次第
あいさつ
群馬県立女子大学 学長 小林 良江
趣旨説明
群馬県立女子大学 准教授 簗瀬 大輔
基調講演
「家紋研究の最前線 ―フィールドワークと実証―」
日本家紋研究会 会長 高澤 等
話題提供
「戦国時代の家紋地図 ―上杉謙信『関東幕注文』のこれから―」
群馬県立女子大学 准教授 簗瀬 大輔
「館林の寺紋と神紋 ―自治体史編纂の課題として―」
館林市史編さんセンター 主事 井坂 優斗
パネルディスカッション
「地域資料としての紋章の可能性」
パネリスト:高澤 等、井坂 優斗
コーディネーター:簗瀬 大輔
〇主催
群馬県立女子大学
〇後援
上毛新聞、群馬テレビ、、FM GUNMA、NHK前橋放送局、長野原町、群馬歴史散歩の会、群馬県地域文化研究協議会